登録文化財 イエズス孝女会修道院旧館(旧東伏見宮葉山別邸)
種別 国登録有形文化財(建造物)
登録年月日 平成29年5月2日
所在地 葉山町堀内1968
構造 木造2階建、銅板葺、建築面積280平方メートル、塔屋付
時代 大正3年/昭和51年・昭和62年改修
登録基準 造形の規範となっているもの
(注釈)幼稚園が併設されているため、許可なく立ち入り、見学することはできません。
概要
イエズス孝女会修道院旧館は、東伏見宮依仁親王(1867-1922)の別邸として、大正3年(1914年)に竣工しました。東伏見宮依仁親王は、伏見宮邦家親王の子として生まれ、明治36年(1903)年に東伏見宮家を創立しました。イギリス、フランスに留学した後、海軍軍人として功績をあげられました。
かつては宅地のみで2,602坪、畑山林を含めて8,566坪の広大な敷地に、2階建洋館1棟、2階建和館1棟、平屋建和館1棟が建ち、その他数棟の付属家、温室、四阿などが建てられていましたが、現在は洋館のみ現存しています。依仁親王逝去後も別邸として存続しましたが、昭和28年(1953年)頃、イエズス孝女会修道院に譲渡され、2回の改修を経て今日に至ります。
設計は木子(きご)幸三郎(こうざぶろう)で、宮内省内匠寮(たくみりょう)時代に嘱託として担当しました。
東伏見宮葉山別邸の外観を特徴付けるのは、2階棟高13.4メートル、3階塔屋頭頂まで15メートルという、住宅建築としては際立つ背の高さと、白色の端正なドイツ下見板張りの外壁で、石積みの基礎、平滑な壁面、鎧戸付きの上げ下げ窓、寄棟の大屋根などが相まって、堂々とした風格ある外観を生み出しています。南面に設けられた車寄せは幅約3メートル、奥行き約5.4メートル、高さ約4メートルと極めて高い規模が大きいものの、欄間や軒飾りなどに軽快な幾何学装飾を施し、天井は吹き寄せの格天井とするなど、繊細で優雅な意匠です。
総じて外観の意匠は、簡潔でありながら風格と華やかさをあわせもち、海浜に建つ宮家の別邸としての典雅さを表現しています。内部衣装も創建時の様子を良く留めており、家具・照明器具も多く現存しています。1階には応接室、食堂などを置き、2階には洋室と和室を置きます。富士山や江の島を望む西側には広いサンルームを設けており、開放感のある空間となっています。
葉山には、明治27年(1894年)の御用邸設置以前から、有栖川宮、北白川宮が別邸を置いたことが知られています。その後も、東伏見宮、高松宮、秩父宮が別邸を置きました。今日、そのほとんどが失われ、現存するのは東伏見宮葉山別邸のみです。また、明治以降、葉山のみならず、鎌倉や大磯など湘南一帯に皇族別荘が多数設けられましたが、関東大震災以前にさかのぼる皇族別荘は東伏見宮葉山別邸のみとなっています。
地図
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更新日:2020年06月23日