県指定文化財翁面(おきなめん)

種別 有形民俗
指定年月日 平成7年2月14日
所在地 葉山町堀内(森戸大明神)
材質 朴(ほお)
面竪 16cm、面巾 14cm
時代 室町時代
概要
木彫の能面です。表裏とも全体に油煙により黒く、胡粉など他の彩色はみえませんが、もとは白色で、形からみて能の翁面であることがわかります。頭部に冠をつけ、目を三日月形に刳り貫き、笑いの表情に作られています。上歯2本と顎に植毛穴が一つあります。翁面としてはいくぶん小型にできています。
この面は、『新編相模国風土記稿』の森戸明神の条に、「翁面一枚漁夫小坪の海中に網して得たる物なり。今小坪村に翁氏の民に十員あり。皆彼漁夫が遠裔なりと云」とあるものです。漁夫が海中からとりあげたという伝承は各地にあり、この仮面に限ったことではなく、神は海のかなたから来るという民間信仰に発したものと考えられます。
翁面の製作年代は明らかではありませんが、三日月形の細い刳り貫き目、円形の肉付きのよい顔、小型である点など、翁面としてまだ様式化されていない自由さが残っており、室町時代初期あるいはもう少し遡る時代の頃と考えられます。
鎌倉時代に鎌倉に幕府があったこともあり、鎌倉時代から当地方では猿楽(古い能)が盛んに行われていました。翁面は猿楽に使用されていたものです。
様式化される以前の翁面は全国的にも珍しく、能の歴史を知る資料として貴重なものです。
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更新日:2020年06月23日