令和5年度町長施政方針

令和5年度(2023年度)町長施政方針

令和5年度予算案の提出にあたり、施政方針を申し述べる機会をいただき、感謝を申し上げます。

新型コロナウイルス感染症が拡大して4年目となり、ようやく日常を取り戻しながら、3年ぶりに人々が集まる機会が増えてきたことに、深い安堵を感じています。

昨年は、5回目までのワクチン集団接種事業を行い、現場の医療従事者の皆様と町内個別医療機関との連携で、大きな事故もなく無事にワクチン接種を展開することができました。また、コロナ禍やウクライナ侵攻の影響による物価、光熱費の急激な高騰に対しては、子育て世帯、住民税非課税世帯に対する特別給付金の支給事務など、国からの受託事務を円滑に遂行したところです。葉山町では、昨年末に全町民へ2回目の電子商品券の交付や5か月間の小学校給食無償化、また、昨年の夏から秋にかけては医療・福祉事業者への光熱費の補助など、一時的ではありますが、負担の激変を緩和するため、地方行政としてもできる限りの支援を行いました。

一方、これまで中止の続いた花火大会や海水浴場は通常通りに開催することができました。また、2年延期した、県と町との合同総合防災訓練「ビッグレスキューかながわ」も行われ、葉山町に145に及ぶ関係団体が集まりました。さらに小規模ながら、地域タウンミーティングや町民の皆様との会合を直接お会いして開催できることも増えました。生ごみ収集の社会実験を行わせていただくなど、各事業においても町民の皆様とともにある町役場を改めて実感し、事業推進の力となりました。いつも協働の葉山町へお力添えをいただいております皆様に深く感謝申し上げます。また、大規模事業としましては、下山口地区の下水道本管敷設工事、クリーンセンター再整備工事、葉山中学校のトイレ改修、さらには中学校給食開始の準備なども着実に事業推進を図ることができました。コロナウイルス感染症のまん延防止措置や第7波、第8波の到来と、緊張と不安は常にありましたが、多くの皆様それぞれが町のために変わらずいてくださっていることに勇気づけられ、少しずつアフターコロナへ向けた前進ができた年だったと思います。令和5年度は、引き続きタウンミーティング等、コロナ禍でまだまだお会いできなかった方々と直接対話を重ね、課題に正面から向き合い、決める責任を果たしてまいります。

さて、令和7年1月の町制施行100周年が、2年後に迫ってきました。本年度から令和6年度にかけて、さまざまな事業のアイデア出しと企画に取り組み、順次実施していきたいと思います。また、行政としては啓発や広報に主に力を入れなければいけません。100周年を機に、より多くの町民の皆様が、これまでの葉山を知り、これからの葉山を考え、それぞれの活動や連携の中で、「御用邸の町」、「豊かな自然と良好な住環境の町」として、将来の世代が誇れる町を創造していただければ幸いです。そして、さまざまな楽しい企画が各地で講じられる、葉山らしい、すばらしい周年記念事業となることを目指します。

次に予算の前提となる財政状況と予算編成方針について申し上げます。昨年12月に国が決定した「令和5年度地方財政対策」においては、地方交付税等の一般財源総額について、前年度を上回る額が確保された一方で、臨時財政対策債は発行額が小さく、財源確保と地方財政の健全化を両立させたものとなっています。また、神奈川県の「令和5年度予算編成方針」では、一定程度の増収が期待できるものの、景気の下振れリスクもあり、先行きは不透明な状況であるとしています。

本町の令和5年度予算案の規模も、過去最大となった昨年を更に4.9%上回り、引き続き過去最大予算となりました。しかし、歳出では増加の一途にある社会保障関連経費や公共施設の老朽化への対応、そして新たな課題として、原油と原材料価格が高い水準で推移しており、物価高騰への対応等の財政需要を見込んでいます。こうした背景を受けて、令和5年度の予算編成にあたっては、「限られた財源を真に必要な分野に重点的かつ効率的に配分」することを基本としました。具体な例としては、令和6年度にクリーンセンター再整備等の大型財政出動が見込まれることから、公共施設の維持管理について、設計施工までの複数年度事業の財政支出を見極めることや、令和4年のサマーレビューの結果を踏まえ、必要性や積算根拠を厳しく明確化することで、重点的、効率的に配分し、引き続き、将来世代に重い負担を回さず、持続可能な町政運営が行えるよう、健全財政の維持に努めることを基本として予算を編成しました。

それでは、はじめに令和5年度の新たな取組みを中心にご説明いたします。4月からようやく中学校給食を開始いたしますが、学校給食は、共働き世帯の支援策であることに加え、食に関する重要な学びの施策と認識しています。生徒自身の心身の健康や、給食が提供されるまでのサプライチェーン、地元食材の積極的な提供による地産地消の推進、フードロスの削減と生ごみリサイクルに関する環境配慮など、食に関する学びとして、食育を積極的に推進してまいります。また、中高生議会や児童の皆さんからご要望のあった、牛乳ストローの廃止について検討を進めた結果、生分解性バイオ素材のストローを採用することとし、さらには、葉山産のお米を活用したアイスクリームや葉山産のはちみつ、だしがらのふりかけを提供するなど、脱プラスチックと合わせたエシカル給食を進め、特色ある学校給食を目指します。葉山町の学校給食は、受益者負担の原則を維持する一方で、保護者の皆様が安心してお子様の一食を任せられる、添加物や食品の安全性に配慮した、栄養があっておいしい、葉山町ならではの給食を進めてまいります。

また、子ども関連施策として、現行中学校卒業までの、所得制限のない医療費無償化につきましては、対象範囲を満18歳の年度末まで拡充し、引き続き安心して必要な医療が受けられる環境構築を図ります。なお、事業名については、「小児」より広範な意味合いを込め、「子ども」医療費助成事業と改めて推進します。

小児の養育支援につきましては、虐待や育児放棄のリスク要因となりうる、子育てに対する不安を抱える親を支援する仕組みとして、家庭での養育が一時的に困難な、3歳から18歳未満の子どもを対象に、児童養護施設で短期間若しくは夜間預かる、子育て短期支援事業(ショートステイ・トワイライトステイ事業)を行います。母子手帳の発行や出産、検診等の過程で関わる町の保健師や各医療機関との連携において、各ご家庭の不安を取り除き、子どもと安心して向き合える関係を構築できるよう支援するもので、町独自の取組みとして開始いたします。

健康増進施設利用費助成につきましては、健康維持・増進に加え、スポーツ振興の観点から、これまで20歳以上としていた対象を18歳以上に引き下げるとともに、引き続き、利用施設の拡大に向けて、近隣自治体と協議を重ねてまいります。さらに、南郷上ノ山公園は、テニスコートの改修を行うとともに、懸案であった多目的グラウンドの改修を行い、合わせて整備用のスポーツトラクターを配備することで、より快適なグラウンドとして常に維持できることを目指します。

なお、令和5年度の公共施設全体の維持管理は、教育施設を重点に工事を行いますが、長柄小学校トイレや役場庁舎の屋上防水工事のように、令和6年度に向けた工事設計も行います。このように、令和6年度は既にクリーンセンター再整備の多額な歳出も予定されていることから、これら工事実施の際に、金利の上昇を見据えて多額の起債に頼らず、基金を積み増して備えることとしました。なお、役場庁舎や教育委員会施設の屋上には太陽光発電システム設置に向けた準備も進めており、令和6年度の工事を予定しております。

大規模事業として早期に着手した下水道事業につきましては、国土交通省の支援や敷設工事地域の皆様の多大なるご協力により、令和4年度末をもって本管の敷設は概ね終了する見込みとなりました。これにより令和5年度以降は、小規模な未整備地区、私道部分などの管渠整備や浄化センター及び中継ポンプ場の設備の増設、これら施設運営の包括的民間委託を進めてまいります。さらに、逗子市との汚水処理の広域化・共同化の検討を進めつつ、官民連携をベースとした事業運営手法の検討を継続します。また、脱炭素に向けた導入可能性調査として、グリーンチャレンジ事業の検討も行います。なお、下水道施設については、本年4月より自然エネルギー由来の電力に切り替えることで、CO2排出の大幅削減を図ってまいります。電力については、引き続き他の施設においても切り替えが行えるよう調査検討を続けてまいります。また、合併処理浄化槽の転換促進については、店舗併用住宅も新たに対象として加え、水環境の向上と長期的なコスト軽減に貢献できる、町の排水処理全般の仕組みの完成を目指してまいります。

町民生活に直結する生ごみ収集の方式や処理方式につきましては、試行と改善の道半ばにあります。クリーンセンターの2年後の稼働に向けて、引き続き議論と実証実験をお願いすることになりますが、その上で町民の皆様がなるべく負担感なく、分別に迷うことなく継続できることをベースとして、事業運営に最善の方法が見出せるよう、全力を尽くしてまいります。なお、町内会連合会からのご提案をもとに、ごみの収集カレンダーをより見やすく分かりやすくなるよう、カラー印刷に切り替えます。また、長い間粗大ごみについては町内の店舗でシールを購入していただき回収しておりますが、DXの一環として、LINEによる事前決済システムを追加することで、より気軽に手間の少ない粗大ごみ排出を可能にします。LINEにつきましては、このほか町からの直接的な情報配信や情報交換、行政手続きの利便向上を図るベーシックなコミュニケーションツールの一つとして、今後着実な浸透と利便性の向上を図ってまいります。また、DXにつきましては、地方税及び国民健康保険、後期高齢者医療保険、介護保険の各保険料のほか、保育料や各種使用料の納付についても、これまでの銀行窓口やコンビニエンスストアでの支払いに加え、キャッシュレス決済による納付を可能とします。また、役場における各種手数料や屋外イベント参加料の支払いにおいても、スマートフォン等によるキャッシュレス決済からお支払いいただけるよう取り組み、町民の皆様の利便向上に努めてまいります。

 

さて、ここからは既存事業も含めた、多くの課題に向き合う主な事業について、第4次総合計画の四つの基本理念に沿って具体的にご説明申し上げます。

1点目、「人を育てる葉山」につきましては、9年間の学びと育ちの連続性を重視した小中一貫教育をベースに、総合的な学習の時間を核とした探求的な学びについて、指導と評価の一体的なあり方を引き続き検討し、更なる充実を図ってまいります。また、大学・高等学校で策定・公表が求められているスクール・ミッション、スクール・ポリシーの策定と、それを踏まえた学校運営について学校と連携してまいります。

南郷中学校を皮切りに開始したコミュニティ・スクールにつきましては、葉山中学校区にも学校運営協議会を設置することで町内すべての学校をコミュニティ・スクール化し、より一層地域と学校の連携を強化してまいります。学校運営協議会では、スクール・ポリシーや新しい時代の学びを実現する学校施設などについても協議していただきたいと考えております。

ICT環境の整備につきましては、三浦半島地区教育ネットワークから離脱し、葉山町教育情報通信ネットワークを再構築することにより、セキュリティー強化と安定的な稼働を図ります。また、保護者あてメール送信機能(あんしんメール)を欠席連絡自動受付機能や個人・クラス単位で送信可能な新たな「学校連絡・情報共有サービス」へ更新し、業務の更なる効率化と保護者へのきめ細やかな対応を実現してまいります。また、町立図書館と学校図書室の連携に向けた連絡協議会の設置、合同研修を実施してまいります。

子ども・子育て支援策の充実では、待機児童の解消や様々な保育ニーズに対応するため、令和7年度の開園を目指す民間認定こども園と放課後児童クラブの整備費の一部を助成します。母子保健事業では、国や県からの補助金を活用し、すべての妊婦・子育て家庭が安心して出産・子育てができるよう、これまで行ってきた取組みをベースに、妊娠期から出産・子育てまで一貫して身近で相談に応じ、必要な支援につなぐ伴走型支援の充実と、妊娠・出産届出時の経済的支援を一体的に行ってまいります。

2点目、「暮らしを守る葉山」につきましては、健康づくりの支援・推進として、健康増進施設利用費助成の対象年齢を引き下げるほか、特定健診において、民間施設の借り上げによる集団健診会場の拡充を行い、受診しやすい環境を整えることで、受診率向上を図ります。また、後期高齢者に対する保健事業と介護予防を一体的に実施する取組みを推進します。具体的には、長寿健診における糖尿病性腎症重症化や低栄養、口腔機能の衰えについてハイリスクを抱える高齢者に対し、保健指導を実施するとともに、貯筋運動などの通いの場に出向き、虚弱予防に関する健康教育・健康相談を行い、健康増進及び健康寿命の延伸を図ります。

高齢者福祉の充実では、令和6年度から始まる第9期高齢者福祉計画・介護保険事業計画の見直しを行います。今後の傾向として、65歳から74歳までの前期高齢者は減少傾向にあるのに対し、75歳以上である後期高齢者は増加傾向にあり、それに伴い要介護等認定者の増加が見込まれます。計画策定においては、引き続き介護予防・生きがいづくりを推進し、健康寿命の延伸を図るとともに、介護が必要となっても安心して住み慣れた地域で暮らせるよう、在宅サービスを中心とした各種サービスの充実を図ってまいります。

また、障害児者福祉の充実においても、障害福祉計画・障害児福祉計画について、令和6年度からの次期計画のスタートに向け、障害児者支援のための各種サービスの見込み量や確保策について可能な限り的確に見込むことにより、年々増大している給付費に対応してまいります。

健康づくりに関する新たな取組みとしては、「ME-BYOサミット神奈川2022」をきっかけに、県や民間事業者、研究機関とつながりを強めています。現状では、ホルモンバランスの変化等で周期的に変化する女性の健康課題への取組みや、早期覚醒や不眠などの訴えの多い睡眠の質の改善への取組みなどについて、協議を重ねており、町民の皆様の健康増進にさまざまな知見を提供できるよう努めてまいります。引き続き、長寿で健康な町葉山として胸を張れるよう進めます。

しかし、健康・予防活動に積極的に取り組むことによって本町の医療費が抑制されても、平成30年度から都道府県化された国民健康保険制度では、被保険者の減少や医療費の著しい高騰により県内市町村が負担する納付金は年々増大しており、制度上の大きな課題となっています。負担の公平性のもと、町民の皆様が納得のできる制度として継続されるため、引き続き一般会計からの繰入金を増額して被保険者の方々の負担の軽減に努めますが、保険運営の安定化のため、保険者である神奈川県に対して、強く町の意見や要求を伝え、改善を求めてまいります。

なお、介護保険制度の創設、障害福祉サービスの拡充、子ども手当制度など平成10年代中頃から、社会保障関連経費の伸びは着実に進んでおり、介護・医療・児童関係費については国、県ともに予算増大の課題と認識しています。少子高齢化が進展する時代においては、やむを得ないことと認識しつつも、引き続き高齢者の健康維持、予防活動に力を入れつつ、子育て環境の充実により、暮らしやすいまちづくりに地域間格差が生まれないよう国、県、近隣自治体と連携を図りつつ、取組みは着実に行ってまいります。

次に、ごみ処理事業につきましては、2市1町ごみ処理広域化実施計画や、逗子市との共同処理により、現在安定的な処理体制が確保されておりますが、今後はプラスチックについて、新たな法律に則した形で再商品化が可能となるよう、引き続き調査・検討を重ねてまいります。地球温暖化対策事業につきましては、気候変動問題に対応するため、現行の第5期葉山町地球温暖化対策実行計画の見直しとともに、新たに区域施策編を策定してまいります。

はやまクリーンプログラム第3弾として、昨年6月から開始した「はやまエシカルアクション」は、葉山町そして地球の将来のために今から何ができるのかを、一人でも多くの人が真剣に考え実践することが重要であると考え取組みを進めています。すでに106の事業者と407人の方から賛同をいただいており、本年3月にはエシカルシンポジウムを開催し、取組みの重要性と環境の町としてのプライドを町民にとどめることなく、世界に発信してまいります。また、役場自体も町内の一事業者として地球温暖化対策に率先して取り組んでいくことが重要であり、役場庁舎や教育総合センターの太陽光パネル設置に向けての設計を行うとともに、公用車のEV(電気自動車)化をさらに促進いたします。令和4年度末までに計4台の配備を予定しており、令和5年度には更に3台の車両を入れ替え、合計7台のEV車両を配備してまいります。なお、EV車両の増配備に伴う充電設備も増設してまいります。

鳥獣保護管理対策事業につきましては、依然発生している農業被害の軽減に向け、実施隊の皆様にご協力をいただき、昨年度に引き続きイノシシ対策用の防護柵を設置してまいります。また、一昨年、昨年と続けて春から秋にかけて大量発生したヤスデについては、様々な先行研究を調査したところ、効果的な対処法が見つかってはいませんが、できる限りの手法を町から紹介し、少しでも発生場所周辺の皆様の精神的な負担を軽減できるよう、必要な消耗品等の購入を進め、支援してまいります。

救急体制につきましては、横須賀市と共同で運用する横須賀市・葉山町消防指令センターでは、令和4年度から2か年で高機能消防指令システムの更新整備を進めており、令和5年8月から新システムの運用を開始する予定です。そのほか、指令センターでは、映像伝送システムとなるLIVE119を導入します。本システム導入により、通報者と指令センターとの間で映像の送受信が可能となり、救命率の向上が見込まれます。また、一定の要件を満たした民間の搬送事業者を「患者等搬送事業者」として認定する制度を設けるとともに、乗務員が業務に必要となる応急手当等の基礎知識及び技術を習得することを目的とした講習会を消防本部で開催するなど、町民の皆様が安全・安心に民間の搬送車をご利用していただけるよう体制確保を進めてまいります。

災害に強いまちづくりの推進につきましては、昨年開催した「ビッグレスキューかながわ」では、災害時を想定して関係機関との連携と協力を再確認することができ、大変多くの学びを得ることができました。令和5年度におきましては、町総合防災訓練を秋に実施することとしておりますが、この経験を活かし、密度の濃い総合防災訓練としてまいります。

一方、地域防災力の更なる向上に向けて、自主防災リーダーの育成をはじめ、自主防災組織への支援を継続してまいります。また、防災対策強化事業として、危険木の伐採、災害用指定井戸手動ポンプの設置、災害時宿泊施設利用及びがけ地防災対策工事費の助成についても、継続して取り組んでまいります。

3点目、「活力を創造する葉山」につきましては、公園を地域の方々と協働で継続して見直し、新たな価値を創造します。幹線道路の整備では、購入した都市計画道路五ツ合森戸線、風早元町線において整備に向けた測量及び実施設計を行い、都市計画道路・町道の着実な整備を進めてまいります。橋りょう長寿命化修繕計画の第3期策定業務は、今後、老朽化する橋りょうの増大に備え、損傷が軽微である早期段階において、計画的な修繕等を行い、橋りょうの寿命を延ばし、予防型の維持管理を進めていく計画として策定してまいります。また、公共地における適切な森林管理の一環として、樹木伐採や危険木の撤去も進めてまいります。近隣住民や通行する方々の安全と安心確保のため、森林環境税等を活用して、順次対応を図ってまいります。

町民農園促進事業では、令和4年度、木古庭に新たに農地13区画を拡張したことに伴い、利用方法等の看板を作成します。これからも多くの町民の方々に、土に触れ収穫を楽しむことで農業へ親しんでいただけるよう環境整備に努めます。また、多くの皆様にご活用いただいている住宅リフォーム助成事業は、引き続き地域経済の活性化、居住環境の向上のため継続してまいります。

水産振興対策事業は、劣化の著しい葉山灯台及び灯標を改修します。また、昨年から密漁対策を強化した結果、町での密漁は減少していますが、引き続き、横須賀海上保安部、漁業協同組合、関係団体との連携、看板設置やパトロール強化等により漁業資源を守ってまいります。漁港管理事業は、芝崎外周護岸における高潮対策工事が令和4年8月末に無事完了したため、令和5年度はその区域に係る長寿命化計画を策定いたします。葉山海岸花火大会は、昨年3年ぶりに開催することができ、心待ちにされていた多くの皆様から、温かい言葉をいただきました。今年も多くの皆様に楽しんでいただける花火大会の開催に向け、実行委員会、警備関係者と連携して開催を支援してまいります。海水浴場開設事業は、引き続き関係機関や団体の方々と安全対策、風紀対策を協議し、各浜の主体的な取組みを支援することで、穏やかで安全な葉山海岸での海水浴を楽しんでいただけるよう努めてまいります。

4点目、「みんなでつくる葉山」につきましては、令和4年秋から再開したタウンミーティングなど、町民、関係団体の皆様と直接の対話形式で意見交換を重ねてまいります。来る令和7年1月の町制施行100周年の機会を捉え、老朽化が進む公共施設の今後の方向性を公共施設等総合管理計画において明確にしていく予定です。そのための大事なプロセスとして、令和5年度は、タウンミーティング形式で地域の皆様と直接お会いして今後の公共施設のあり方について意見交換を行います。新型コロナウイルス感染症による生活様式と働き方の変化により、都心から離れた郊外を生活拠点に選択する方が増加する傾向にありますが、中長期的な展望では人口減少に転じることが確実と言えます。人口減少とそれに起因する町税収入や社会保障関連経費等への影響をしっかりと見通し、持続可能な町政運営を行っていくため、責任と覚悟を持って、ファシリティ・マネジメントに向き合ってまいります。

また、職員の職務環境におけるDXモバイルワーク環境構築への取組みを促進いたします。現在セキュリティーの観点から、職場のデスク上に固定した状況でのみパソコンのインターネット利用が可能ですが、セキュリティー対策を施したうえでWi-fiによるアクセスを可能とし、庁舎内外を問わず、どこからでも業務上の情報へインターネットアクセスすることができるようシステムを構築してまいります。さらには、財務会計システムの電子決裁について、令和5年度中の導入に向けて取り組んでまいります。これらの取組みにより、ペーパーレス会議や在宅勤務の促進にも大きく寄与するものと期待しております。

さらに職員の働き方に関する取組みとしては、令和4年度に本町では職員の勤務環境におけるストレス改善ため、職場に緑を導入するネイチャーブレイクの実証実験に取り組みました。職員からも好評であるうえにストレス解消へ一定の効果もあり、特に2階に配置した花器棚は来庁される町民の皆様にも大変好評でした。令和5年度におきましては、1階フロアにも緑の配置を検討しており、来庁される方々に癒しを感じていただくとともに、植物のある空間を楽しんでいただけるよう取組みを進めてまいります。

 

役場職員の活躍として、以前から力を入れていた広報事業においては、令和4年全国広報コンクールにおいて総務大臣賞に選ばれ、年明けには8度目の県最優秀賞の吉報が届きました。高い水準での不断の努力が評価されたものと受けとめています。さらには、民間企業からサステナブルジャパンアワード優秀賞や、住み続けたい町ランキング日本一などの評価もいただき、これまで取材や環境貢献にご協力くださいました町民の皆様をはじめ、葉山を支えてくださる関係人口の皆様のお力と深く感謝を申し上げます。そして古くから人々を惹きつけてやまない葉山の土地の魅力が、そこに住む人々、葉山に憧れる国内外の人々への魅力となっていることも周知のことで、この土地に対する感謝を忘れず、引き続き葉山が好きで、葉山を大切に思う人々が集まって協力し合い、将来にわたって子どもたちの笑顔が溢れる町へ尽くしてまいります。

その原動力となる町役場の職員の皆様には、新年のはじめにも引き続きの活躍をお願いしました。「オール葉山、町役場の横連携組織のため、役職だけではなく名前を呼び合い、個を尊重しましょう。ルールと世論のバランスに自立、自律するビジネスパーソンとして、あいさつをはじめ、自己管理に優れましょう。そして、笑顔と愛を忘れずに、家族や友人を笑わせられる人になって欲しい。」と伝えました。私たちの取組みが正しいと評価をいただいたお礼には、優れた仕事とまちづくりの結果でお返しできるよう、役場一丸となって令和5年度も様々にすばらしい葉山町が広がっていくよう全力で働いてまいります。

議員の皆様におかれましては、令和5年度予算案並びに関係議案につきまして、ご賛同賜りますようお願い申し上げ、また引き続きのご指導ご鞭撻のもと、ともに葉山町を磨き上げていけるよう、一層のお力添えをなにとぞよろしくお願い申し上げます。

  • 町長施政方針は、下記からダウンロードできます。

過去の施政方針等は下記よりご覧ください。

過去の方針

更新日:2023年03月03日