令和4年度町長施政方針

令和4年度(2022年度) 町長施政方針

令和4年度予算案の提出にあたり、施政方針を申し述べる機会をいただき、感謝申し上げます。

はじめに、新型コロナウイルス感染症との闘いが3年目になりました。デルタ株、オミクロン株などのウイルスの変異に対応しながら、町民、国民、それぞれが感染拡大の抑止に取り組み、ワクチン接種を進め、皆が平穏な日常を目指して努力しています。罹患され苦しまれている方々の1日も早い回復を祈念し、また、その治療に当たられている医療従事者をはじめ、エッセンシャルワーカーとして感染のリスクを負いながらも、日々人々の生活を支える最前線の業務に携わってくださっている全ての皆様に深く感謝を申し上げます。そして、この間も世界中で多くの方々がお亡くなりになりました。謹んで哀悼の意を表します。

本町では、昨年は2度のワクチン接種事業をコロナ対策の要として位置づけて尽力してきました。本年になってからは、1月中旬より前倒しして3回目のワクチン接種を開始するとともに、子育て世帯、住民税非課税世帯に対する臨時特別給付金など、国からの受託事務の迅速な対応に力を注いでいるところです。また、町独自でも、昨年は学びを止めないプロジェクトや全町民への電子商品券の交付、バブル方式の中でのオリンピックイギリスセーリングチームのサポートなど、行える限りの事業や活動を続けてきたところではありますが、令和2年度に引き続き花火大会や海水浴場、ビッグレスキューや新春の集いなど、各種活動や行事を中止せざるを得ず、コロナ対策を最優先とした緊張と不安の続く日々でした。

他にも施設の閉鎖や利用制限、まん延防止等重点措置や緊急事態宣言による商店の営業自粛などありましたが、葉山町の皆様はそれらにも粛々と滞りなく応じてくださいました。それどころか、オリンピックでは、多くの町民サポーターがイギリスチームのためにバブル方式の中であっても活躍してくださいました。とりわけ、各地域に高齢者や子どもを支える福祉活動を継続してくださる皆さんがいて、たくさんの前向きな思いや活動に支えられてまいりました。改めて深く感謝申し上げます。

このように、昨年も引き続きの感染予防対策や制限によって時間やコストを割かねばならない状況ではありましたが、町民の皆様や多くの関係者皆様のお力をいただいて、可能な限りの事業推進を図ってまいりました。令和4年度は、これまで内部検討を進めてきた公共施設再整備への本格的な事業着手や、アフターコロナを見据えた町の活性化を目指して、暮らし、学びの充実、そして町民の皆様との対話を重ねて、事業推進ができることを期待して予算をまとめています。

3年後の令和7年1月に、葉山町は町制施行100周年を迎えます。この大きな節目のときに、「御用邸のある町」、「豊かな自然と良好な住環境の町」として、皆様に実感を持っていただきながら、これからの葉山を創造し議論していただけるための土台固めとなるよう、ハード・ソフトの両面で準備を行ってまいります。

次に予算の前提となる財政状況について申し上げます。昨年12月に国が決定した「令和4年度地方財政対策」では、地方の安定的な財政運営に必要な一般財源総額が、前年度を上回る形で確保されました。中でも地方交付税は、国税収入の伸びを背景に平成16年度以降で最高額が確保された一方で、臨時財政対策債は大幅に抑制され、財政健全化に配慮されたものとなっています。一方、神奈川県の「令和 4年度予算編成方針」では、概ね850億円の財源不足を見込むなど、県財政は引き続き危機的な状況にあり、持続可能な財政運営のために不断の事業見直しを行うとしています。

こうした状況下、本町の令和4年度予算案の規模は、今後3か年にわたるクリーンセンター再整備工事の着手などから、過去最大となりました。事業実施にあたっては、国や県の予算動向を的確に捉え、特定財源の最大限の確保を図るとともに、一定程度の町債や基金を活用していくこととなりますが、計画的な財政運営を行うことによりプライマリーバランスの維持や基金残高への影響を可能な限り抑え、引き続き健全財政の維持に努めていくという考えに変わりはありません。

次に、予算の規模の大きな事業について具体を挙げて申し上げます。大規模事業として早期に着手した下水道事業については、国土交通省の支援や敷設工事地域の皆様の多大なるご協力により、令和7年度に完了予定でありますアクションプランの10年概成の目標達成に向けて、事業は順調に進行しています。今後は官民連携をベースとした新しい管理運営体制の構築を目指し、また、合併処理浄化槽の導入を着実に推進することや、逗子市との連携協議も始めるなど、水環境や長期的なコスト軽減に貢献できる町の排水処理全般の事業体制完成を目指してまいります。クリーンセンター再整備事業においては、施設解体と生ごみ資源化事業の開始に向けた業務契約を結び、まずは施設の解体を行いながらも、廃棄物の収集と処理業務が安全に継続運営できるよう、慎重に進めてまいります。また、町民生活に直結する生ごみ収集の方式や処理方式についても、まだまだ試行と改善が必要です。3年後の稼働に向けて、様々な角度から議論を重ね、最善の方法を見出せるよう全力を尽くしてまいります。

公共施設の大部分を占める学校施設では、生徒たちからも要望をいただいていた葉山中学校のトイレ改修や南郷中学校体育館の雨漏り修繕、そして長年の懸案でありました中学校給食開始に向けた準備を行い、令和5年度の事業開始を目指してまいります。また、町制施行100周年を見据えて、両中学校の部活動支援のため吹奏楽部等の備品整備も行い、学習環境の向上に力を入れるとともに、小中一貫教育の議論も進めます。学力はもとより、豊かな人間性を育む葉山町ならではの文化芸術・スポーツの教育環境向上を図り、複雑多様化する社会で求められる新たなコミュニケーション能力の向上に資する教育の実現を目指してまいります。

公共施設の有効かつ適正な管理では、新型コロナウイルス感染症により滞っていた行政内部での議論は、昨年中ごろから各公共施設を4つの分野にグループ分けし、議論を再開しました。今後は各施設における将来のあり方について、関係する団体や施設利用者と意見交換し、将来へ持続可能な施設運営を念頭に、様々な行政活動や地域活動を阻害することがないような公共施設再編に取り組んでまいります。なお、気候変動対策の取り組みのひとつとして、公共施設の電力には自然再生エネルギー由来の電力を導入してまいります。

令和3年度の町税収入は、例年より若干減少が見られるものの、おおむね横ばいで推移しています。しかし、平成20年の金融危機の際は、本町では経済状況の変化に対して、2年から3年の間、大幅な町税減収となった経緯があることから、決して手綱を緩めることなく、大きな支出を伴う事業については、その都度、将来の財政状況を見極 めながら慎重に取り組まなければならないと考えています。

また、都道府県化された国民健康保険制度などのように、社会変化や制度変更により全県が影響を受ける事業は、本町単独での財政運営が許されない面もあることから、コロナ禍や様々な影響による変化には慎重にその影響を見極めなければなりません。そのうえで、負担の公平性と町民の皆様が納得のできる制度として継続できるよう、 ときには国や県に対して、強く町の意見や要求も伝えていかなければなりません。

コロナ禍による莫大な国家的財政負担は、今後長期にわたって、確実に私たちの将来の負担となって跳ね返ります。そういった点についても、当面の間は今まで以上に積極的に情報を収集しつつ、外部からの影響に柔軟に、しかし、ときには強く出られるよう、先を見通した議論と想定を繰り返し、町政を運営してまいります。

令和4年度予算は、このように皆様の暮らしに直結する大切な取り組みや、環境の町、心豊かな暮らしのできる町として推進したい様々な事業を盛り込んでおりますが、以下、多くの課題に向き合った主な事業について、第4次総合計画の4つの基本理念に沿って具体的にご説明申し上げます。

1点目、「人を育てる葉山」につきましては、小中一貫教育の推進として、Society5.0(注釈1)時代に向けて育成すべきスキルの明確化・共有化を図りつつ、総合的な学習の時間を核として、系統的・横断的なカリキュラムを創造し、令和7年4月の施設分離型小中一貫校の開設 に向けた取り組みを進めてまいります。長柄小学校と南郷中学校では、令和4年4月に合同の学校運営協議会を設置し、地域住民や保護者など地域全体で児童・生徒の学びや成長を支えるとともに、地域学校協働活動推進員を配置し、地域と学校が相互に連携・協働して行う地域学校協働活動を推進してまいります。そして、新しい時代に必要 となる資質・能力を育成するため、引き続きICT支援員を活用し、全ての小中学校の普通教室に短焦点プロジェクターとマグネットスクリーンを整備してICT環境の充実に努めてまいります。

施設面では、衛生環境の向上を図るため葉山中学校のトイレ改修工事を行い、南郷中学校では屋内運動場の防水工事を実施します。また、学校施設の将来展望に向けて、葉山中学校区の建物躯体のリノベ ーション調査を実施するとともに、町民の皆様と広く時間をかけて意見交換を行ってまいりたいと考えています。

懸案であります中学校給食は、暫定的措置として、親子方式での実施に向けて、親校とする上山口小学校の給食室や各中学校の荷受室改修工事を行い、暫定期間における配送車両や厨房機器等を調達し、令和5年4月の中学校給食提供開始に向けて準備を進めてまいります。また、学校給食費を公会計化し、教職員の負担軽減を図るとともに、収支管理の一元化により業務効率化を図ります。

生涯スポーツ活動の推進では、葉山町体育協会が進めている総合型地域スポーツクラブの創設支援を行い、地域住民主体による運動・スポーツの機会の提供を奨励してまいります。

子育て支援制度の拡充は、国・県の支援も受けながら地域における小学校就学前の子どもを対象とした多様な集団活動事業の利用支援として、幼稚園類似施設に通い、幼児教育・保育の無償化の給付を受 けていない園児に対して保育料の一部助成を行うこととし、多彩な子育て活動を支援してまいります。また、令和3年に開設の意向が示 されていた民間小規模保育施設が、いよいよ本年4月より開園します。本町の待機児童の解消に大きく寄与するものと期待しています。

母子保健事業は、妊婦健康診査における助成を拡大します。多胎妊娠は、単胎妊娠の場合よりも妊娠中のリスクが高く、通常よりも数多く健康診査を受診することが推奨されています。そのため通常14回の受診に加え、最大5回分を追加で受診できるよう補助を拡大し、多胎妊婦の方の安心できる出産環境の向上とリスク軽減を図ります。 平成30年から実施してきた産後ケア事業では、育児支援者や協力者が少なく、不安感を持ちながら育児をしている母親に有効な事業として、そのさらなる充実を図るため、子どもの夜泣きへの対応や、夜間授乳のアドバイスなどを受けるため、ナイトケア型を追加し、産後ケアの選択肢を拡充することとします。さらに3歳児健診における 視力検査の強化を図ります。子どもの目の機能は、生まれてから発達を続け3歳から4歳の幼児期に最も発達し6歳でほぼ大人並みに完成するため、弱視の子どもは、視力が大きく発達する時期に適切な治療を受けることが大切です。これまでの検査よりも正確性を向上させるため、他覚的屈折検査機器(スポット・ビジョン・スクリーナー) による検査を導入し、目の異常の早期発見に努め早期治療へ繋げます。

2点目、「暮らしを守る葉山」につきましては、現在、2市1町ごみ処理広域化実施計画に則った逗子市との共同処理により、可燃ごみ、容器包装プラスチックなどの安定的な処理を行っています。共同処理を推進するためのクリーンセンター再整備事業は、整備を行う事業者と仮契約を終え、議会のご承認をいただき、正式に契約締結となれば、令和4年度より収集等の従来業務を行いながら施設を解体することになりますので、安全を第一に工事を進めてまいります。なお、その先の生ごみの分別収集については、引き続きモデル事業を実施させていただき、皆様の声を聞きながら、本町にあった収集方法を検討してまいります。

水環境の向上は、アクションプランに基づき、公共下水道と合併処理浄化槽の普及を進めてまいります。公共下水道事業では、引き続き未普及地への整備促進やアセットマネジメント計画による、施設設備等を更新し、将来にわたり安定した事業運営を図るため、国からの積極的な支援を受けながら、浄化センター等の公共施設等運営事業 コンセッション方式(注釈2)の導入検討、及び逗子市との汚水処理広域化・共同化について、可能性を検討してまいります。

消防においては、横須賀市、三浦市とともに運用している共同指令センターが、システムの全面更新時期を迎えたことから、令和5年9月からの新システム運用開始に向けて、令和3年度に実施設計を行い、令和4年度及び令和5年度の2か年で整備を進め、消防指令体制の充実・強化を図ってまいります。

救急体制については、高齢化の進展等により今後も救急需要が増大することが見込まれ、救急救命体制の充実・強化が求められており、配備する高規格救急車については、感染症対策を施した最新車両に更新するなど、引き続き高度化する救急業務に対応するため取り組んでまいります。

消防団は地域防災力の要であり、将来にわたり、欠く事のできない存在として、極めて重要な役割を担っています。しかしながら、近年、全国各地で災害が多発化・激甚化する一方、消防団員数は著しく減少するなど、消防団を取り巻く情勢は一層厳しさを増しています。このような社会環境の変化に対応し、団員の士気向上や消防団活動への家族等の理解を得るため、消防団員の処遇改善は不可欠なものと考えており、その一助として消防庁長官通知に基づき、年額報酬及び出動報酬の引き上げを行います。今後も若年層の方々が入団したい、引き続き在団したいと思えるような処遇のあり方、活動の環境整備など消防団の充実・強化に向けた取り組みを進めてまいります。

災害に強いまちづくりの推進は、世界各地で大規模な風水害や地震、津波が頻発している現状、また、新型コロナウイルス感染症を含め、様々な危機がいつどこで発生してもおかしくないという想定のもと、防災減災へ即応するための対策を推進しています。そのためにも町民一人ひとりの防災意識と地域における助け合いの意識を高めるための啓発や各種訓練を継続的に行うことで、自助・共助・公助が重層的に機能する強靭なまちづくりを目指します。

具体的には、2年続けてコロナ禍のため延期を余儀なくされた「ビッグレスキューかながわ」を開催し、関係機関との連携強化を図るとともに、町民及び職員の新たな気づきと学びの機会とします。他に、急傾斜地の土砂災害特別警戒区域、いわゆるレッドゾーンが新たに指定されたことを受け、災害が発生した際の被害を防止するため防災工事助成金制度を新たに創設します。併せて、発災時の避難等の円滑化を図るとともに、緊急車両の通行及び支援物資等の輸送が迅速に図れるよう、主要国県道沿道の木造建築物の耐震化に取り組みます。引き続き、木造住宅の耐震化及びブロック塀等の撤去に対する補助も行います。なお、依然として収束の兆しが見えない新型コロナウイルス感染症対策を見据えた防災対策を講じていく必要があることから、避難所における感染防止対策を講じるとともに、避難所の密を回避することを主目的として、令和3年度に新たに創設した風水害時宿泊施設利用補助金制度も継続することとします。沿岸部におきましては、神奈川県の協力をいただいている芝崎地区の外周護岸工事は、令和4年度に完成を迎えます。今後も引き続き高潮による越波、津波等対策に警戒を続けてまいります。

3点目、「活力を創造する葉山」につきましては、魅力ある地域の児童公園創出を目指して、協働の理念のもと地域の方々と対話し、新設・廃止・目的の見直しなどを含めた公園再配置や、より安全で誰でも利用しやすいインクルーシブ(注釈3)の観点を取り入れた公園を目指すなど、公園のあり方について議論を重ね、整備を進めます。

幹線道路の整備では、購入した都市計画道路向原森戸線用地の道路整備に向けた測量及び実施設計を行い、町道850号線、湘南国際村の道路整備を3か年かけて実施します。今後におきましても都市計画道路・町道の着実な整備を進めます。

橋りょう定期点検調査業務は、道路法による5年に1度の法定点検に基づき、橋りょう定期点検を実施します。町が管理する道路橋のうち、66橋の損傷及び変状を早期に発見し、安全・円滑な交通を確保するとともに、安全性や経済性を踏まえて、損傷が軽微である早期段階において修繕等を行い、橋の寿命を延ばしていく予防型の維持管理を進めてまいります。臨御橋架け替えプロジェクトについては、現在まで関係機関である神奈川県と協議を重ねてまいりましたが、工事施工に伴う海浜からの建築資材の搬入に多額の経費を要することなどから、資材搬入路の拡幅を視野に入れた搬入路調査を本年3月から着手します。臨御橋は御用邸に隣接し、古くから地元町民や海水浴客にも親しまれた町のシンボルであり、将来へ残す貴重な財産として様々な手法を検討し保全に努めてまいります。

交通計画策定に向けた取り組みでは、本年1月に発足した地域公共交通会議において、町民代表をはじめ、専門有識者や交通、道路などの関係機関、バスやタクシー事業者などの一般旅客運送事業者からご意見をいただき、町の現状や人口などの将来予想に加え、交通に関する町民ニーズを的確に捉え、本町に合った公共交通施策について議論を深めてまいります。

住宅リフォーム助成事業は、申請件数も増加しており本制度で施工される町内事業者の方から、制度をきっかけとして継続して他の工事を依頼されることが増えたという言葉をいただいています。地域経済の活性化、居住環境の向上のため事業を継続してまいります。

次に一次産業分野においては、地場農産物の振興や特産品開発の中心的な施設である朝市農産物加工所の塗装防水工事を行い、地場農産物の振興や特産品開発をさらに推進してまいります。また、近年、海水温上昇等で激変する海洋環境は、水産資源減少への影響が著しく、海を育てる活動が非常に重要になってきています。今後も漁業協同組合、海上保安庁、葉山警察などと連携をさらに強固なものとし、漁場保全のため、横行する密漁の対策についても引き続き対策を強化し、併せて、近年、SUPを中心としたマリンスポーツでの事故が多くなっていることから、看板設置などを行い、海上での安全や海のルールに関する周知・啓発を強化してしまいります。

海水浴場開設事業は、令和3年度と同様に関係機関や団体の方々と、事故防止や新型コロナウイルス感染や安全対策を協議し、徹底した対策のもと安全で安心な海水浴場を開設してまいります。葉山海岸花火大会は2年連続してコロナ禍の影響により中止となりましたが、町民の皆様をはじめ多くの方々が開催を心待ちにしていらっしゃいますので、今年こそ無事に開催できることを願っております。

4点目、「みんなでつくる葉山」の広報広聴活動の充実では、この2年間コロナ禍によって、なかなかお会いできなかった町民の皆様や、関係団体の皆様と、意見交換や対話の機会をぜひ設けてまいります。

例えば、令和7年1月の町制施行100周年に向けては、NPО法人葉山まちづくり協会にご協力いただき記念誌編纂や町民の皆様方 とともにお祝いするための準備を開始します。他にも行政運営や政策形成の上で、教えていただきたいことなどが多々あることから、様々な方法を模索して、今年こそは学びをいただけるように尽力してまいります。

一方で、役場からのお知らせとして、広報事業に力を入れてまいりましたが、光栄なことに本年も神奈川県広報コンクールにおいて4年連続の最優秀賞、9年連続の入賞を果たしました。これは行政の努力だけではなく広報紙編集の段階における町民や各団体の皆様のご協力によるものが大きく、皆様とともに受賞を喜びたいと思います。 SNSを活用した広報については、インスタグラムも昨年同時期から現在までフォロワー数が2,800人増え、本年1月末現在で、36,800人にフォローしていただいており、写真や親しみやすいキャプションを通じて、町の風景や暮らしの魅力を感じていただいています。なお、現在、LINEの活用拡大を検討しており、必要な情報をわかりやすく確認できるよう改善し、町の情報や動向が的確に伝わるよう努めます。また、ホエールアーティストの第一人者である、あらたひとむさんとコラボレーションを行い、イルカやクジラをモチーフにした婚姻届や婚姻証明の発行で、環境貢献の意識啓発、環境配慮の町としても定着化を図りたいと考えています。今後も町内外のたくさんの方々に町の魅力を感じ、いつかは住みたい町としての様々な企画やアイデアを官民連携で講じてまいります。

行政組織の充実については、未だ収束の見通しが立たない新型コロナウイルス感染症への対策と働き方改革実践の側面からも、単に今までの業務の進め方を踏襲するのではなく、個々の職員が合理性・効率性を追求する姿勢を持って町民サービスを展開してまいります。令和3年度に実現させた申請書類等への押印廃止を契機として、ペーパレス化、ICT化を計画的に進めていくため、葉山町DX推進計画を策定し、町民の利便性向上と職員の負担軽減を図ることとします。また、その実現のための執行機関の強化として、行政改革においても、DX(注釈4)やRPM(注釈5)、AI(注釈6)の導入検討などにも積極的に関与し、町民皆様の利便性の向上やセキュリティ対策を徹底させ、信頼できる町役場として、さらなる高みを目指して研鑽してまいります。さらには、町組織内で多数の被災者があった場合など、最悪の事態を想定し、有事の際であっても限られた人材で業務が継続できる体制を構築するため、既存の業務継続計画(BCP)(注釈7)の見直しを行います。

さて、新型コロナウイルス感染症対策では、3回目接種に続き、今後は5歳~11歳児童への初回接種も目前に迫っており、円滑に実施できるよう接種体制を継続してまいります。令和4年度におきましても、国や県の動向を踏まえつつ、感染防止、まん延防止に向け、引き続き対策を講じてまいりますが、一刻も早いウイルスの鎮静化と社会や人々の心の安寧が訪れることを願ってやみません。

これまでのコロナ禍による経済社会構造へのインパクトは、人々の価値観、行動、子どもたちの成長にも様々な影響を与え、すでに人の暮らし方、生き方の変化が始まっています。それは、今後も数か年かけて大きく変化していくものと予想されますが、一方で、残り8年となったSDGsの達成も地球規模で大切な命題です。本町は3年後 には町制施行100周年も迎えます。アフターコロナの変化と、3年後、8年後、これからまさに葉山町がどのような自治体として、どのような町を目指し彩っていくのか、政治には町を想う情熱と、多くの人々の知恵や経験を頼り、冷静に情報を収集し、将来に責任を持った判断が求められていると、今までに増して強く感じております。

我慢の連続だった日々の暮らしが明けて、子どもから大人まで、皆様が集い、葉山でたくさんの笑顔が見られる日を楽しみに、引き続き町役場一丸となって、行政運営に全力を挙げて取り組んでまいります。本年も何卒よろしくお願いいたします。


(注釈 1) Society5.0
2016年1月に閣議決定され、政府が策定した「第5期科学技術基本計画」のなかで提唱されている新しい社会のあり方。サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会(Society)。

(注釈 2)コンセッション方式
公共施設運営事業。利用料金の徴収を行う公共施設等について、施設の所有権を地方公共団体が有したまま運営権を民間事業者に設定する方式。

(注釈 3) インクルーシブ
「ソーシャル・インクルージョン」(社会的包摂)という言葉から来ており、「あらゆる人が孤立したり、排除されたりしないよう援護し、社会の構成員として包み、支え合う」という社会政策の理念。

(注釈 4)DX(Digital Transformation)
2004 年にスウェーデンのウメオ大学のエリック・ストルターマン教授によって提唱された概念。その内容は「進化し続けるテクノロジーが人々の生活を豊かにしていく」というもの。言い換えると、「進化したデジタル技術を浸透させることで人々の生活をより良いものへと変革すること」。

(注釈 5)RPA(Robotic Process Automation)
これまで人間のみが対応可能と想定されていた作業、もしくはより高度な作業を、人間に代わって実施できるルールエンジンや AI、機械学習等を含む認知技術を活用して代行・代替する取り組み。

(注釈 6)AI(Artificial Intelligence)
人工知能。言語の理解や推論、問題解決などの知的行動を人間に代わってコンピューターに行わせる技術。

(注釈 7)BCP(Business Continuity Plan)
事業継続計画。災害時に特定された重要業務が中断しないこと、また万一事業活動が中断した場合に 目標復旧時間内に重要な機能を再開させ、業務中断に伴う顧客取引の競合他社への流出、マーケットシェアの低下、企業評価の低下などから企業を守るための経営戦略。

  • 町長施政方針は、下記からダウンロードできます。

過去の施政方針等は下記よりご覧ください。

過去の方針

更新日:2022年03月09日