選択的夫婦別姓制度の法制化を求める意見書

現行法では、どちらかが改姓しないと婚姻は成立しない。多様性を認める社会、男女共同参画、基本的人権の尊重の観点から、婚姻に際してどちらも改姓しないという選択肢の法制化を求める声が上がっている。
最高裁判所は2015 年、 2021 年の夫婦別姓を求める裁判で、現行法の夫婦同姓規定自体は「合憲」と判断したが、同時に選択的夫婦別姓制度の在り方について「国会で論ぜられ、判断されるべき事項に他ならない」と国会での議論を投げかけた。その後も夫婦別姓の選択肢を持つ法制度を求める声は多く、市民、司法、経済界からもますます強く求められている。
2024年2月、一般社団法人日本経済団体連合会(経団連)が選択的夫婦別姓制度の導入を政府に求める提言を公表した。同年6月には経済同友会も経団連と足並みを揃える姿勢を示し、更には「一つの姓を選ばなければいけないという非常に不都合なことがずっと放置されてきた。働く仲間の多くが不都合を感じているのだから、早期に解決してもらいたい」と制度の導入を強く求めた。
現在の我が国の夫婦同姓制度は明治時代に海外から輸入された制度で、海外ではその後、順次別氏制が導入され、現在では夫婦同姓でなくては結婚ができない国は日本以外にはない。
現代社会では、男女ともに生まれ持った氏名で信用・実績・資産を築いてから結婚を迎えるケースも多く、改姓によるキャリアへの影響が指摘されている。また子連れ再婚も増加傾向にあり、再婚時の子どもの苗字をめぐった困りごとも増えている。政府は通称使用の拡大に向けた取り組みを進めているが、ダブルネームを使い分ける負担や管理コストの増加、さらに国際的な場面での不便も生じている。
選択的夫婦別姓制度は、こうした問題を解決し、誰も改姓による不利益、苦痛を感じることなく結婚・出産でき、老後も法的な家族として支え合い、更には「自分の名前で生きたい」という人権、かつ、個人のアイデンティティを尊重できる社会の実現につながる。国民一人一人が活躍できる社会を実現することは国の責務である。
よって、国会及び政府において、こうした社会状況を真摯に受け止め、選択的夫婦別姓制度の国会審議を推進し、法制化を強く求め、関連する法整備を求める。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和7年10月8日
葉山町議会
提出先 衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、総務大臣、法務大臣、内閣府特命担当大臣(男女共同参画)

この記事に関するお問い合わせ先

お問合せ先:議会事務局
〒240-0192 神奈川県三浦郡葉山町堀内2135番地
開庁時間:8時30分~17時00分
閉庁日:土・日曜日、祝祭日、年末年始
電話番号:046-876-1111 ファクス番号:046-876-1717

更新日:2025年10月10日