再審法改正を求める意見書

えん罪は、国家による最大の人権侵害である。えん罪被害者の人権救済は、わが国にとってはもちろん、地域住民の生命・財産を守る義務を有する地方自治体にとっても重要な課題である。
えん罪被害者を救済するための制度として「再審」があるが、その手続を定める法律(刑事訴訟法第四編「再審」)には、再審請求手続の審理のあり方に関する規定がほとんどないため、再審請求手続の審理の進め方は、事件を担当する裁判官によって区々であり、審理の安定した進行が制度的に保障されていない状況にある。
その中でも、とりわけ大きな問題は、証拠開示の問題と再審開始決定に対する検察官の不服申立ての問題である。
過去の多くの事例では、再審段階で明らかになった捜査機関の手元にある証拠が、えん罪被害者の救済の大きな原動力となっている。
したがって、えん罪被害者を救済するためには、捜査機関の手元にある証拠を開示させる仕組みが必要であるが、現行法にはそれを定める明文規定が存在せず、裁判官の訴訟指揮や検察官の対応次第となっており、事件ごとに証拠開示の範囲に大きな差が生じているのが実情である。このような格差を是正するためには、証拠開示のルールを定めた法の制定が必要である。
また、再審開始決定がなされても、検察官がこれに不服申立てを行うことにより、いたずらに審理が長引き、結果としてえん罪被害者の速やかな救済が妨げられた事例も多く生じてきた。
しかし、再審開始決定は、裁判をやり直すことを決定するにとどまり、有罪・無罪の判断は再審公判において改めて行われるのであるから、再審開始決定といういわば入口の判断に対して、検察官の不服申立てを認める必要はない。
よって、えん罪被害者を早く確実に救済するために、再審請求手続における証拠開示の制度化及び再審開始決定に対する検察官の不服申立ての禁止を含む再審法の速やかな改正を強く求める。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和7年10月8日
葉山町議会
提出先 衆議院議長 参議院議長 内閣総理大臣 法務大臣

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更新日:2025年10月10日