最低賃金の改善と中小企業支援策の拡充を求める意見書

   新型コロナの感染の収束のめどはたたず、中小零細企業を中心に大きな打撃を受けている。また、急激な物価高騰による生活困窮に追い込まれているのが、最低賃金近傍で働くパートや派遣、契約など非正 規雇用やフリーランスで働く労働者となっている。この難局を乗り越 えるには、国民の消費購買力を引き上げること、賃金の底上げを図る ことが不可欠である。格差と貧困を縮小するためには、最低賃金大幅引き上げと地域間格差をなくすことがこれまで以上に重要になって いる。
  2022 年の地域別最低賃金改定は、最高の東京で時給 1,072 円、神奈川県では 1,071 円、最も低い県では 853 円に過ぎない。毎日8時間 働いても年収約 180 万円であり、最低賃金法第9条3項の「労働者の 健康で文化的な生活」を確保することはできない。さらに地域別であるがゆえに、沖縄県と東京都では、同じ仕事でも時給で 219 円もの格差がある。若い労働者の都市部への流出が、地域の労働力不足を招き、 地域経済の疲弊につながっている。自治体の税収が減少し、行政運営 にも影響がでている。全労連の調査では若者1人が自立して生活する うえで必要な最低生計費は全国どこでも月 24 万円(税込み)の収入が必要との結果である。
  世界各国の制度と比較すると、日本の最低賃金は、OECD諸国で 最低水準であり、ほとんどの国で、全国一律制をとっている。そして、 政府として大胆な財政出動を行い、公正取引ルールを整備するなど具 体的な中小企業支援策を確実に実施し、最低賃金の引き上げを支えている。日本でも、中小企業への具体的で十分な使いやすい支援策を拡充する必要がある。
 労働者の生活と労働力の質、消費購買力を確保しつつ、地域経済と 中小企業を支える循環型地域経済の確立によって、誰もが安心して暮らせる社会をつくりたいと考える。 以上の趣旨により、下記の項目の早期実現を求める。 1 政府は、労働者の生活を支えるため、最低賃金を抜本的に引き上げること。 2 政府は、最低賃金の引き上げができ、経営が継続できるように、 中小企業への支援策を最大限拡充し、国民の生命とくらしを守るこ と。
   以上、地方自治法第 99 条の規定により意見書を提出する。
令和4年 12 月 15 日
葉山町議会
提出先 内閣総理大臣 厚生労働大臣 中央最低賃金審議会会長 衆議院議長 参議院議長

 

 

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更新日:2022年12月19日