精神保健福祉の改善を求める意見書

精神科を受診する人は年間420万人に迫っており、誰でも安心して気軽にかかれる精神科医療の充実は、国民的な課題となっている。
しかし、現行の日本の精神科医療は、地域生活を基盤とした諸外国とは異なり、施設療養生活中心となっている。一般病院に比べ、診療報酬は低く抑えられ、施設内の医療スタッフの体制も半分以下と極めて少ない状況である。疾患治療ではなく、精神障害者から社会を守るという日本独特の誤った観点が差別・偏見を助長し、世界的にも類を見ない長期にわたる社会的入院や隔離・身体拘束による人権侵害をもたらし、国際的にも批判を受けている。日本は、2014年に障害者権利条約を批准している。すべての人の人権が尊重され、患者・利用者本位の精神保健医療福祉の改革をはかることが必要である。
また、新型コロナウイルス感染症の拡大による、新たな生活様式に適したメンタルヘルス対策を構築することも喫緊の課題である。
よって、国においては、誰もが地域社会でその一員として安心して暮らし続けられるよう、次の項目について対策を講じるよう要望する。
1 良質な医療を提供し、隔離・拘束を原則廃止できるよう、精神科専門職の配置人員を引き上げること。また、一般病床より低い人員配置を認めている医療法施行規則を改め、精神病床の人員配置を改善すること。
2 精神科疾患や認知症があっても、地域で安心して生活できるよう、早い段階から適切な支援と治療を受けることができる包括的で継続的な支援体制の整備を国が行うこと。また、差別・偏見をなくすための啓発を進め、施策には当事者・家族の声を尊重して反映させること。
3 入院中心から地域への移行を円滑に進めるために、精神保健福祉予算の拡充や労働者の雇用保障・教育・研修を国が責任をもって行うこと。
4 新型コロナウイルス感染症の拡大による新たな生活様式に対応したメンタルヘルス対策を早急に講じること。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。


令和3 年 12 月 14 日

葉山町議会



提出先 内閣総理大臣 財務大臣 厚生労働大臣

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更新日:2021年12月16日