沖縄県の辺野古新基地建設問題を国民全体の問題として、公平、公正にさまざまな選択肢を検討することを求める意見書

沖縄県では、平成9年(1997 年)に普天間基地の代替基地として名護市辺野古付近での建設が決定されて以降、約20 年にも及ぶ建設反対運動が続いており、選挙において再三再四、反対の意思が示されてきた。
直近では、平成30 年(2018 年)9月30 日に、4年前の沖縄県知事就任以来一貫して辺野古新基地建設阻止を貫いた故翁長雄志前知事の遺志を継いで沖縄県知事選挙に立候補した玉城デニー氏が圧勝し、沖縄県民の辺野古新基地建設反対の意思が改めて示された。
さらに、平成31 年(2019 年)2月24 日に行われた県民投票では投票総数の7割以上が辺野古新基地建設に反対の意思表示を行った。住民自治の観点からみれば、政府が辺野古新基地建設を断念すべき十分な理由である。
平成30 年(2018 年)8月31 日、沖縄県が法にのっとり埋め立て承認を撤回したことで工事は止った。しかし、平成27 年(2015 年)の埋め立て承認取り消し時と同様に、国の機関である沖縄防衛局は国土交通省に対し行政不服審査法に基づく審査請求と執行停止を申し立て、国土交通大臣は執行停止を決定し、工事は再開された。
これは多くの行政学者が批判しているとおり、国民のための権利救済制度を濫用した法治国家に反する行為である。このようなことを許したら、全国の地方自治体でも辺野古と同様に政府の権限が増大した国策が強要される懸念が生じる。
また環境面からみても、日本が世界に誇れる生物多様性にあふれる豊かな辺野古の大浦湾の埋め立てによって、絶滅危惧種260 余を含む約5,600 種の生物群が危機的状況に置かれている。
現在、辺野古の大浦湾では、活断層の存在が疑われ、軟弱地盤が確認されている。このような危険で建設困難な場所に基地がつくれるのでしょうか。強引に工事を進めても工期は大幅に延長され、当初の工事費3,500 憶円の予定が、改良工事を含むとますます膨張することが予想される。今後費やされる時間と税金と環境破壊を考えれば今すぐにでも建設を断念すべきである。
私たちは、沖縄県民が、米兵による犯罪、米軍機墜落、騒音による健康被害、環境被害、有事の際の標的になることへの懸念等、さまざまな不安、危機にさらされて生活している当事者として新たにつくられる米軍基地の建設に反対することは当然のことと考える。
沖縄県外に住む国民の多くが、沖縄に集中する米軍基地に疑問を抱くことなく戦後70 年以上が経過した。しかし、徐々に辺野古の問題が周知されることとなり、普天間の危機除去のためには辺野古が唯一の解決策という政府の一点張りの主張の欺瞞に気が付き始めている。
私たちは、沖縄の歴史と、沖縄に基地が集中した経緯を鑑み、当事者意識を持った国民的議論を行い、解決への道を開きたいと考える。
今、全国各地で辺野古新基地建設の実態を知るさまざまな専門家や国民が、建設反対の声を上げている。政府は、辺野古唯一とは異なる提案も含めて、国民の声を真摯に聞くべきであり、民主主義にのっとり議論の機会を広げていくべきである。
よって、葉山町議会は国会及び関係省庁に対し、次の事項を求める。
1 辺野古新基地建設を即時中止すること。
2 辺野古問題を、沖縄のみに解決を迫るのではなく、国民的な議論を行い、解決の道を探ること。
以上、地方自治法第99 条の規定により意見書を提出する。

令和元年6月26 日

葉山町議会
提出先 内閣総理大臣、外務大臣、防衛大臣

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更新日:2019年06月27日