小規模な防災倉庫設置における建築確認手続きの簡略化と基礎構造において必要最小限の基準策定を求める意見書

 本年に入り、熊本・鳥取・福島と相次いで大きな地震が発生し、当該地域では甚大な被害を受けた。東海地震・南海トラフ巨大地震・首都直下地震の発生確率は、今後30年で70%とされ、自主防災組織活動の充実は急務である。さらに、三浦半島は活断層群が存在し、大規模地震の発生確率は6~11%とされている。
 平成27年11月に、神奈川県から、自主防災組織が設置する防災倉庫について、床面積が2平方メートルを超える場合には建築確認申請が必要との基準が示された。そのため10平方メートル程度の既成品倉庫を設置するには、倉庫本体の価格約15万円のほかに、建築確認申請に係る設計手数料として20万円前後の負担が新たに必要となった。加えて、このわずか10平方メートル程度の倉庫を緊結する基礎工事についても一般建築と同等の強度が求められるため、その工事費用は30万円を超える試算となる。このように防災倉庫を一基設置するのに約65万円を要する状況は地域の防災環境の充実にとって金銭的な妨げとなっていることは否めない。防災・減災を地域の自主防災組織による「共助の力」に頼らざるを得ない状況で、設置コストに大きく影響する申請手続きの要否や、過剰な基礎構造にかかる基準を早急に改善する必要がある。
 よって、神奈川県においては、次の事項について早急な実施を要望する。

  1. 神奈川県建築行政連絡協議会が示した「小規模な倉庫の建築基準法上の取扱いについて」にもあるとおり、地域の実情等を勘案し、自主防災組織が設置する10平方メートル以下の防災用倉庫の設置については、建築確認手続きを簡略化すること。
  2. 地震発生時の転倒防止対策の必要性は十分理解するところだが、小規模な防災倉庫等については、必要最小限の基礎構造の基準の策定により設置コストの削減を図り、より多くの地域に防災倉庫が設置できるよう誘導する施策を展開すること。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 平成28年12月14日

葉山町議会

提出先
神奈川県知事

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更新日:2018年01月31日