細菌性髄膜炎を予防するワクチンの早期定期予防接種化を求める意見書

意見第6号

 細菌性髄膜炎の日本での患者数は、毎年約1,000人にのぼると推定されている。その約6割強がインフルエンザ菌b型(Hib=ヒブ)によるもの、約3割が肺炎球菌によるもので、この二つの起因菌によるものが全体の約9割を占めている。
 細菌性髄膜炎は早期診断が大変難しい疾病である。治療には起因菌に有効な抗生物質を高容量投与するが、近年、特にヒブの薬剤に対する耐性化が急速に進んでおり、適切な治療が難しくなってきていることが指摘されている。
 また、細菌性髄膜炎は迅速な治療が施されても、ヒブの場合で3~5%、肺炎球菌の場合で10~15%の患児が死亡している。生存した場合でも10~20%に脳と神経に重大な損傷が生じ、水頭症、難聴、脳性まひ、精神遅滞等の後遺症を引き起こしている。
 ヒブと肺炎球菌による細菌性髄膜炎はワクチン接種にて予防することができ、ヒブワクチンは世界133カ国以上で定期予防接種されている。肺炎球菌についても肺炎球菌ワクチン(7価ワクチン)が世界93カ国で承認され、米国やオーストラリア等35カ国で定期接種されている。これらのワクチンを定期予防接種化した国々では発症率が大幅に減少しており、効果は高い。
 一方、わが国においては、ヒブワクチンが平成20年12月から販売が開始されたが、いまだ任意接種であることから、4回の接種費用が約3万円と自己負担が大きく、一日も早い定期接種化が重要となっている。また、肺炎球菌ワクチンについても、乳幼児に使用できるワクチンがようやく承認され、発売の目途が立ったが、こちらも4回の接種が必要となり、ヒブワクチンと合わせると相当な額の自己負担となってしまう。
 ヒブワクチンと肺炎球菌ワクチンの定期予防接種化により、国内の細菌性髄膜炎の発症抑止と医療費の削減に大きな効果が期待できることから、早期定期予防接種化が急がれるところである。
 よって、政府は下記の事項について特段の措置を講じられるよう強く要望する。

  1. 速やかに細菌性髄膜炎を予防接種法による定期接種対象疾患(一類疾病)に位置づけること。
  2. 肺炎球菌ワクチン(7価ワクチン)についても、発売後速やかに定期接種化すること。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 平成21年12月10日

葉山町議会

提出先
 衆議院議長・参議院議長・内閣総理大臣・財務大臣・厚生労働大臣

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更新日:2018年02月01日