「協同労働の協同組合法(仮称)」の速やかな制定を求める意見書

意見第5号

 急速な日本の少子・高齢社会の到来は、年金・医療・福祉などの社会保障制度はもちろんのこと、労働環境にも大きな変化をもたらし、働くことに困難を抱える人々が増加し、社会問題となっている。また、近年の急速な構造改革により、経済、雇用、産業などの様々な分野において格差が生じ、とりわけ労働環境の問題は深刻さを増しており、失業とあわせて、ワーキングプア、ネットカフェ難民、偽装請負(派遣)などに象徴される新たな貧困と労働の商品化が広がっている。さらには、障がいを抱える人々や社会とのつながりをつくれない若者など、働きたくても働けない人々の増大は、全国共通の地域的課題である。
 このような中、NPO、ボランティア団体、自治会など、さまざまな非営利団体が、住みやすい地域社会の実現を目指し活動しており、これらの一つである協同労働の協同組合は、働くことを通じて、人と人のつながりを取り戻し、コミュニティーの再生を目指す活動を続けている。
 同組合は、働く者が出資し合い、全員参加の経営で仕事を行う組織で、国内では、ワーカーズコープ、ワーカーズコレクティブ、障がい者団体などにおいて、多くの人々がこの「協同労働」に携わっており、日本社会に広がりつつある。
 しかし、同組合には根拠法がなく、また社会的理解が低いことから、これらの活動をさらに活発にしていくためには、法制度を整備していく必要がある。既に世界の主要国では、労働者協同組合についての法制度が整備されており、また日本でも、多くの団体が法制度化に賛同し、国会では超党派の議員連盟が立ち上がるなど、法制度化の検討が始まっている。
 協同労働の協同組合は、仕事を通じて安心と豊かさを実感できるコミュニティーをつくり、市民主体のまちづくりを創造し、働くこと・生きることに困難を抱える人々自身が社会連帯の中で仕事をおこすことで社会への参加に道を開くものである。
 よって、国会及び政府においては、社会の実情を踏まえ、市民活動という側面のみならず、新しい労働のあり方や就労の創出、地域の再生、少子・高齢社会に対応する有力な制度として、「協同労働の協同組合法(仮称)」を速やかに制定するよう強く要望する。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 平成20年9月24日

葉山町議会

提出先 衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、厚生労働大臣、総務大臣、経済産業大臣

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更新日:2018年02月01日