葉山町議会基本条例

平成21年6月29日 議決

平成21年7月1日 公布

平成23年9月13日 改正

平成25年2月22日 改正

平成27年3月18日 改正

平成31年2月14日 改正

(前文)

 地方議会は、二元代表制のもと、住民主権を基礎とし、住民の信託を受けて活動する住民の代表機関であり、合議制による議事機関である。また、長その他の執行機関(以下「長等」という。)と独立、対等な関係を保ち、監視機能と立法機能を十分に兼ね備えた地方自治の実現を目指すものである。
地方分権改革を進める上で、地方自治体は自らの判断と責任において行政を運営することが求められている。地方議会及び議員は、住民福祉の向上を図るため、さまざまな行政の課題に対して、住民の多様な意見を的確に把握し、自立したまちづくりを進める責任を負っている。
葉山町議会(以下「議会」という。)は、このような認識のもと、これまでの良好な自然環境と住環境の調和を重視し、伝統ある歴史と文化を育みつつ、新しい価値を創造するよう努める。
議会は、高い政治倫理に基づき、議員の責務及び活動原則、情報提供など町民に開かれた議会運営の基本的事項を定め、町民の負託にこたえていくことを決意し、この条例を制定する。

基本的考え方

 地方分権が進むなかで、議会の役割と責任を果たすための基本理念と、その実現に向けて取り組むべき基本的方向を示すものである。あわせて、この条例が議会及び議員の活動の際の規範であることを表明するものである。

(目的)

第1条

 この条例は、真の地方分権時代に対応するため、合議制の機関である議会が担うべき役割及び議会に関する基本的事項を定め、議会の活性化を図り、町民の負託にこたえられる議会の実現を図ることを目的とする。

基本的考え方

 この条例は、議会が担うべき役割及び議会に関する基本的事項を定めることで、議会の活性化と町民の負託にこたえられる議会の実現を図ることを目的とする規定である。

(議会の運営原則及び説明責任)

第2条

  1. 議会は、本町の基本的な政策決定、長等の事務の執行の監視及び評価並びに政策の立案及び提言を行う機能が十分発揮できるよう、円滑かつ効率的な運営に努め、合議制の機関である議会の役割を果たさなければならない。
  2. 議会は、前項に規定する議会の役割を果たすため、次に掲げる原則に基づき活動を行うものとする。
    (1)公正性、透明性、信頼性を確保し、町民に開かれた議会及び町民参加を推進する議会を目指して活動すること。
    (2)政策立案機能の充実強化を図るとともに、町の施策が効率的かつ適正に実施されているかを町民の立場に立って監視及び評価すること。
    (3)町民の多様な意見を的確に把握し、これを町政に反映させる議会運営に努めること。
    (4)議会の会議又は常任委員会、特別委員会及び議会運営委員会(以下「委員会」という。)の運営において、必要に応じて参考人制度及び公聴会制度を積極的に活用し、多様な意見を踏まえながら、適切な判断を行うこと。
  3. 議会は、議会運営、政策の立案、決定、提言等に関し、町民に対して説明責任を果たすよう努めなければならない。

基本的考え方

 議会の役割として政策決定、行政監視及び評価並びに政策立案を掲げ、それらを実現するための活動原則を規定するものである。

 さらに、議決権は議会の有する最大の権限の一つであることを踏まえ、議決責任に係る説明責任と可能な限りの議会の透明性を確保するため、議会運営等について、議会は町民に対し説明責任を果たすことを規定するものである。

第4項一部改正(平成25年2月22日条例第6号)。

(議員の責務及び活動原則)

第3条

  1. 議員は、地域の課題のみならず、町政の課題とこれに対する町民の多様な意見を的確に把握し、合議制の機関である議会を構成する一員として、議会活動を通じて、町民の負託にこたえるものとする。
  2. 議員は、日常の調査及び研修活動を通じて自らの資質の向上に努めるものとする。
  3. 議員は、議会活動について、町民に対して説明する責務を負う。
  4. 議員は、議会の構成員として、町民全体の福祉の向上を目指して活動しなければならない。

基本的考え方

 議会の運営原則を踏まえ、議会の構成員として議員に求められる基本的姿勢(町政の課題とこれに対する町民の多様な意見の的確な把握、自らの資質の向上、議会活動の説明責任、町民全体の福祉の向上)を、議員活動の原則として規定するものである。

(会派)

第4条

  1. 議員は、議会活動を行うため、会派を結成することができる。
  2. 会派は、政策の立案、決定、提言等に関し、合意形成に努めるものとする。

基本的考え方

 本町議会において、円滑な議会活動を行ってきたこれまでの会派制の意義を踏まえ、また、合議制の機関としての合意形成を図る上で、政策形成の役割を担う組織の一つとして会派を位置付けるものである。

(町民の議会への参加及び町民との連携)

第5条

  1. 議会は、町民の多様な意見を把握し、議会活動に反映することができるよう町民の議会活動に参加する機会の確保に努めるものとする。
  2. 議会は、請願及び陳情を町民による政策提言と位置付けるとともに、委員会審査に当たって必要があると認めるときは、これら提出者の意見を聴く機会を設けるものとする。
  3. 議会は、長等の事務の執行の監視及び評価並びに政策の立案、提言の過程において、参考人制度、公聴会制度等の積極的な活用及び町民との意見交換等町民参加に係る制度の充実に努めるものとする。

基本的考え方

 町民と議会の関係の基軸として、町民参加を推進しながら多様な意見を吸い上げ、町民本位の立場にたって、政策立案の強化と適正な監視・評価を行うことを規定するものである。

 また、町民参加については、請願等の提出者から意見を聴く機会を設けるとともに、地方自治法上の制度(参考人制度、公聴会制度等)に加え、本町議会独自の制度(町民との意見交換等)を設け、充実を図ろうとするものである。なお、意見交換等独自制度の詳細については、別途要綱で定めることとする。

第2項追加(平成23年9月13日条例第17号)。

(附属機関の設置)

第6条

 議会は、議会活動等に関して必要があると認めるときは、別に条例で定めるところにより、審査、調査又は諮問のための附属機関を設置することができる。

基本的考え方

 議会の機能強化等を図るため、また町民参加の方法の一つとして、議会においても附属機関を設置することができる根拠規定を明文化するものである。

(広報機能の充実)

第7条

  1. 議会は、多様な媒体を用いた町民への情報提供に努めなければならない。
  2. 議会は、議案に対する各議員の意思を議会広報で公表する等、広報機能の充実に努めるものとする。

基本的考え方

 町民に開かれた議会とするため、多様な方法で町民へ情報を提供し、情報の共有化と広報機能の充実化を図るとともに、議決責任に係る説明責任を具現化するため、議案等に対する各議員の意思を公表するものである。

(委員会の公開)

第8条

 議会は、開かれた議会運営に資するため、委員会を原則として公開する。

基本的考え方

 公正性、透明性、信頼性を確保し、町民に開かれた議会及び町民参加を推進する議会を目指すことを確認するため、委員会は原則公開とすることを規定するものである。

(長等との関係の基本原則)

第9条

  1. 議会は、二元代表制のもと、長等と常に緊張ある関係を構築し、事務の執行の監視及び評価を行うとともに政策の立案、提言を通じて、町政の発展に取り組まなければならない。
  2. 議会は、長等との立場及び権能の違いを踏まえ、議会活動を行わなければならない。
  3. 議会の会議及び委員会において、長等(その補助職員を含む。)は、議員の質問、質疑、議員提出議案等に関し、議長又は委員長の許可を得て反問することができる。

基本的考え方

 議員と長が直接選挙で選ばれ、ともに住民を代表し、それぞれ直接住民に責任を負う二元代表制における議会と長との関係において、長等は執行権、他方で議会は監視権との基本的な権能の違いを踏まえ、常に緊張ある関係を保ちながら、長等とともに町政の発展に取り組むべきことを規定するものである。

 反問には、質問の趣旨・内容の確認や質問の背景・根拠の確認により論点・争点を明確化することに加え、町職員から議員の考え方を問い返したり、対案の提示を求める「反論」も含まれるものである。これにより本会議・委員会における論議が深まることを期待するものである。

第3項追加(平成27年3月18日条例第13号)。

(政策立案及び政策提言)

第10条

 議会は、条例の制定、議案の修正、決議等を通じて、長等に対し、積極的に政策の提言を行うものとする。

基本的考え方

 議会を監視・評価の機関にとどめず、政策立案の機関としても位置付け、政策立案機能の強化を図り、長等の執行機関に対して条例などの政策提案を通じ有効な政策提言を行うものである。

(議会審議における論点情報の形成)

第11条

 議会は、まちづくりの基本方針並びに町民生活に重要な影響を及ぼすことが予想される施策及び事業について、長等に対し、次に掲げる事項を明らかにするよう求めるものとする。

(1)政策を必要とする原因又は背景
(2)他の自治体の類似する政策との比較検討
(3)町民参加の実施の有無とその内容
(4)総合計画等との整合性
(5)政策の実施に必要な財政措置

基本的考え方

 既に長等が情報提供している現状を踏まえつつも、政策の公正性・透明性の確保と議会審議での論点の明確化を図るため、長等に情報及び説明の明示を求め政策形成過程等を明らかにすることを規定するものである。

 なお、町民生活に重要な影響を及ぼすことが予想される施策及び事業とは、次の施策及び事業をいうものである。

(1)行政の分野別の計画及び施策事業
(2)その都度、町民生活へ及ぼす影響を考慮し、議会が判断する計画及び施策事業

(議会の議決事件)

第12条

 地方自治法(昭和22年法律第67号)第96条第2項に規定する議会の議決事件は、基本構想及びこれに基づく基本計画の策定、変更又は廃止に関することとする。

基本的考え方

 地方自治法第96条第2項で、団体意思の決定機関としての議会の機能を強化するため、条例により議決すべき事項を増加することができるとされている。重要な計画等に関して、団体意思の決定への議会の関与の必要性、執行権との権衡等を考慮し、「基本構想及びこれに基づく基本計画」を新たに議決事件として追加するものである。

一部改正(平成25年2月22日条例第6号)。

(活発な議論による合意形成)

第13条

 議員は、議会の権能を発揮するため、委員会において、議員相互の議論を活発に行い、合意形成に努めるものとする。

基本的考え方

 議会は言論の府であることから、議員間の自由活発な議論を中心に運営し、審議及び審査で結論を出す場合にあっては、合意形成に向けて議員相互の論議を尽くす努力をするよう規定するものである。

(政務活動費)

第14条

 議員及び会派は、葉山町議会政務活動費の交付に関する条例(平成16年葉山町条例第6号)に基づき交付される政務活動費を活用して、議員の調査研究、広報広聴及び政策立案に資するものとし、その使途については、積極的に公開し説明責任を果たさなければならない。

基本的考え方

 政務活動費は、議員の調査研究その他の活動に役立てるため、議員又は会派に対し交付できることが地方自治法に定められており、本町においても条例に基づき交付されている。

 ここでは、議員及び会派が政務活動費を有効に活用し、調査研究、広報広聴及び政策立案を行うこと並びに町民に対して使途の説明責任があることを規定するものである。

全部改正(平成25年2月22日条例第6号)。

(議員定数及び議員報酬)

第15条

  1. 議員定数及び議員報酬に関しては、別に条例で定めるところによる。
  2. 議員報酬の改正に当たっては、原則として第三者機関による議員活動の客観的な評価等を参考にしなければならない。
  3. 議員定数及び議員報酬の改正に当たって、委員会又は議員が提案する場合は、その理由について説明責任を果たさなければならない。

基本的考え方

  1. 議員定数及び議員報酬については、それぞれ葉山町議会議員定数条例(平成14年葉山町条例第11号)及び葉山町議会の議員の報酬及び費用弁償等に関する条例に定められており、当該条例に委ねるものである。
  2. 議員報酬の改正は、行財政改革の側面だけでなく、特別職報酬等審査会等第三者機関による議員活動の客観的な評価等を参考にしなければならないことを定めるものである。
  3. 議員の定数及び報酬に関する条例改正は、長の提案及び町民の直接請求の場合を除き、その改正理由について議員が説明責任を有していることを定めるものである。

(政治倫理)

第16条

 議員は、高い倫理性が求められていることを深く自覚し、葉山町議会議員政治倫理条例(平成14年葉山町条例第25号)を遵守し、品位の保持に努めなければならない。

基本的考え方

 議員という公職者に共通に求められる政治倫理については、既に葉山町議会議員政治倫理条例(平成14年葉山町条例第25号)が定められており、当該条例に委ねるものである。

 ここでは、議員は高い倫理性が求められていることを深く自覚し、同条例を遵守し、品位の保持に努める責任があること規定するものである。

全部改正(平成25年2月22日条例第6号)。

(議会改革の推進)

第17条

 議会は、分権時代における地方議会のあり方を常に議論し、不断の議会改革をさらに推し進めるよう努めるものとする。

基本的考え方

 町民の意見や社会情勢の変化等を踏まえつつ、地方分権の時代にふさわしい議会であるために、絶えずそのあり方を検証し、改革する議会であり続けるよう努力を重ねることを規定するものである。

(議会事務局の体制整備及び予算の確保)

第18条

  1. 議会は、議会の政策立案能力を向上させ、議会活動を円滑かつ効率的に行うため、議会事務局の調査、法制機能の強化及び組織体制の整備を図るものとする。
  2. 議会は、二元代表制の趣旨を踏まえ、議事機関としての機能を確保するとともに、より円滑な議会運営を実現するため、必要な予算の確保に努めるものとする。

基本的考え方

 議会が行政監視機能に加え、政策立案機能を積極的に担っていくために、補助機関としての議会事務局職員の能力向上と体制の整備・充実化を図ることを規定するものである。二元代表制の一翼を担う議会として、様々な機能を果たしていくためには、一定の予算が必要であることから、予算確保への努力について規定するものである。

(最高規範性)

第19条

 この条例は、議会運営に関する最高規範であって、議会は、この条例の目的及び趣旨に反する議会の条例、規則、規程等を制定してはならない。

基本的考え方

 この条例は、議会運営に関する最高規範であることを明示し、議会に関する条例等は、この条例の趣旨に反することができないことを規定するものである。

(議員研修)

第20条

  議会は、この条例の理念を浸透させるため、議員の任期開始後、速やかに、この条例及び葉山町議会議員政治倫理条例に関する研修会を行わなければならない。

基本的考え方

この条例の理念を浸透させるため、議員の任期開始後、速やかに、議会基本条例及び議会議員政治倫理条例に関する研修を行うことを規定するものである。

(検討)

第21条

 議会は、この条例の施行後、町民の意見、社会情勢の変化等を勘案し、必要があると認めるときは、この条例の規定について検討を加え、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。

基本的考え方

 町民の意見、社会情勢の変化等を勘案し、この条例の目的が達成されているか否かの評価及び検討を議会に義務付け、必要に応じ条例の改正を含む所要な措置を講じることを規定するものである。


  • 附則
    この条例は、平成21年10月1日から施行する。
  • 附則(平成23年9月13日)
    この条例は、公布の日から施行する。
  • 附則(平成25年2月22日 条例第6号)
    この条例は、公布の日から施行する。ただし、第14条の改正規定は、平成25年3月1日から施行する。
  • 附則(平成27年3月18日 条例第13号)
    この条例は、公布の日から施行する。
  • 附則(平成31年2月14日 条例第5号)
    この条例は、平成31年5月1日から施行する。

 

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更新日:2019年05月16日